休日はひとり旅(2)

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前回 彼女を撮影したのは10月だった

コスモスが咲き乱れる広い公園でのんびりと過ごしたのを思い出す

もう半年以上も経っているのに気づかなかったわけではない

その時に『次回は連れて行きたい公園がある』と彼女に伝えていた

ここに連れてくるには初夏から梅雨入り前が理想的と考えていたので今になっただけの話だ

「今回は『森林浴』がメインになるから、それなりの服装が良いかと思います」

事前に彼女に送ったメッセージにそう記していた

「怜さんに『森林浴みたいな』って言われていたから色々と調べたのよ」

「『森林浴』で検索したの?」

「そうそう♪」

「その結果が今日の服装なの?」

「変かしら?」

「いや、とっても可愛いと思う。可愛いと思うけど、それで『森林浴』なの?」

私は思わず笑ってしまった

『森林浴』と言うよりは どこか広々とした高原にでも出かける様な出で立ちに思えた

「怜さんに『虫が多いかもしれないから肌の露出は控えた方が良い』ってアドバイスされたから・・・」

「確かにそうだけど。。。でも、休日のひとり旅っぽくて良いよ♪」

「そう、よかった♪」

「狭い範囲だけど、起伏の激しい道のりだよ。覚悟してね」

「怜さんにそう言われたから今日はスニーカーなのよ。だから足まで写さないでね」

彼女はスカートの裾を少しだけたくし上げて足元の白いスニーカーを見せた

「いや、悪くないよ。フルショットする時には言うから安心してください」


こうして「ひとり旅」は始まった



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# by pianoartech312 | 2017-06-19 19:40 | Portrait | Comments(0)

休日はひとり旅(1)

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「ひとり旅の経験は?」

「ないわ。何も考えないでフラっと何処かへ行ってみたい気持ちはあったのになぁ…」

「じゃあ、もしひとり旅できるとしたら何処へ行きたい?」

「そうねぇ… 」

彼女はしばらく考えていた

「反対に、怜さんがオススメする場所はあるの?」

「以前にも話したかもしれないけど、やはり長野県白馬村。ぜひ行って欲しい」

「白馬は良いわよね。スキーなら行ったことあるのよ」

「そうなんだ!」

「でも、それだけだったから観光らしい観光はしていないの」

「ぜひ、夏でも秋でも、そして春は一番綺麗だし行って欲しいな。。。」

別に私は白馬村の観光大使をしているわけでもなんでもない

しかし多い時には年に6回も通った頃があった

いつ行っても変わることのない景色と雄大な北アルプスは私に限らず

見た人全ての気持ちを癒してくれる

ここ数年は私も訪ねることをしていないが

いつかは白馬村の景色を背景に女性を撮影して見たいと思っている

「今日のテーマは『休日』だよ」

「そうなのね。じゃあ、今日の私の服装は”それっぽい”わね」

彼女が笑った

確かにそう思う

ボックスシートに座ってもらい フィルムカメラを持ってもらって外をみる姿は

本当にこれから高原にでも出かけるひとり旅の女性を見ている様だった

今日は実に良い天気になった

それもまた気分をより一層高めてくれる

今日が楽しみになった




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# by pianoartech312 | 2017-06-18 19:00 | Portrait | Comments(0)

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左:PAN200+RSG        右:PAN400+D-76



今回のプリント実習には幾つかの目的があった

まずはFOMAPAN400Action を D-76 で処理したネガが本当に良いプリントになるか?

次にFOMAPAN200Creative を Rollei Supergrain で処理したネガが理想的なプリントになるか?

そして初めて使用したRollei RPX100 はどんなプリントになるのか?

それらを検証してみたかった

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前回の実習にてFOMAPAN400 をD-76 で処理したネガをプリントして

実に良い調子でプリントされたことに気を良くしたのだが本当に信じて良いのか?

その疑問を払拭するために意識的にこの組み合わせで処理してみたのだ

そして同じ条件で撮影したFOMAPAN200 とRSG の組み合わせのネガを比較してみた

FOMAPAN400 とD-76 のネガはやはり良いネガだった

ピントルーペを覗きながら 程よい粒状性の美しさにため息が漏れた

初めはストレートで焼いてみた

テストピースでの露光時間を基準にしてみたが程よい黒の締まりがあって心地良かった

ただ窓のハイライトが中途半端と言うか 微妙な感じ

なのでごく標準な2号フィルターを装着してプリントしてみたら そこが改善された

先生に見てもらうと「もう少し硬くても良いのでは?」と意見をもらった

なのでフィルターを1/2だけ号数を増やしてみた

確かにシャドウが締まるだけで全体の雰囲気も変わり 彼女に意識が集中できる

そうした出来上がりの画像がまだ私にはイメージできていないのだ


同じ条件で撮影されたPAN200 のネガも同じ条件でプリントしてみる

まず粒子の違いが明白で PAN200の方が荒い位だった

シャープネスも比較するとPAN400 の方が優れている

それは偏に現像液の違いだ

もし同じ現像液で処理されていれば もっと違いを細かく分析することができた

でもPAN200 をD-76 で処理したネガは以前にも実際にプリントしている

ただ この様に2枚を並べて比較すると違いがわかるが

それぞれを1枚だけで見ればどちらも雰囲気のある良いプリントだ

PAN200 の方がどことなく古臭い印象があるが それは『味』だ

この比較はとても面白かった

そしてPAN400 とD-76 の組み合わせはどんな被写体でも『使える』ことが立証された


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次に初めて使用したRollei RPX100 のネガをプリントしてみると・・・

まず驚いたのは粒子の細かさ

おそらく初めて体験する粒子だったと思う

あまりにも細かすぎてピントを合わせることに苦労した

明るい部分ではほとんど粒子の一つ一つを確認できない

もちろん そんな事はないのだが

そのくらいにきめ細かい粒子なのだ

そして上がったプリントは実に綺麗だ

ただT粒子のネガをプリントしたものとは明らかに違い

調子は良いのだが やはり柔らかいしグレーも綺麗でシャドウもしっかりしている

悪い言い方をすれば「ツマラナイ」プリントになった

そのくらい綺麗なのだ

なので このネガなら全紙で焼いても全く問題なく見られるプリントになるはずだ

大きくして初めてこのフィルムの良さが実感できるのだと思う

それはFOMAPAN100 やRollei Retro80s でも同じことが言えると思うのだが その質は明らかに違う

晴天で輝度差が大きい状態 つまりコントラストが付きやすい状況で撮影されたネガでも

無理なく柔らかな画像を結ぶはずだ

この写真はY2フィルターを装着している

後になってそれを後悔した

この状況ならフィルター無しで少し柔らかくするべきだった

なので初めに焼いた1枚を見てから あえて1.5号のフィルターを入れて再びプリント

それを先生に見せると一発で合格だった




どんなことでも しっかりとした「根拠」と「意思」を持って行動することで「責任」を持つことができる

残念ながら まだ「信念」にはならないが

それでもプリントの変化には少しずつではあるがイメージができる様になった

今回は「学び」よりも「発見」が多くあって実に有意義な時間だった











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# by pianoartech312 | 2017-06-17 19:00 | Portrait | Comments(0)

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【モノクロフィルムの比較】

今回は以前に「新兵器」として紹介したRollei RPX100 を使用することに決めていた

当初は終日曇り空という予報だったのだが 想定外に良い天気となり理想的だった

Y2 フィルターを装着して撮影してみた

それと今回は背景が広いこともあって久しぶりに150mm の中望遠も持参して臨んだ

現像液はRollei Supergrain を1+12 稀釈

ネガを見た段階ではあまりその違いがわからなかったが

まず特徴としてフィルムベースが厚い

Rollei Retro は実に薄く しかも透明度も高いのでスキャニングに適していると謳われる

それとは全く反対でKodak TRI-X400 同様の厚さであり硬さだった

そしてフィルムベースが実に「黒い」ので驚いた

にも関わらずTRI-X のようなステインはあまり感じることもなく排出液も無色透明

露光されたカットは適正露出と見えるしコントラストも良いと思えた

スキャンしてみるとまずは柔らかさに驚いた

…と言うよりは今までが硬すぎたのだろう

シャープネス・コントラストも実に心地良く

ネガを見ても粒子がとても細かいことが見て取れた

もちろんSEKOR レンズの性格もあるが少々ネムイくらいの質感だった

でもシャドウもハイライトもメリハリがあるし

あえて輝度差を大きくした場面のカットはそれなりに硬さも出た

もちろんプリントをして初めてこのフィルムの評価ができるのだが

おそらくストレートに焼いても全く問題ないプリントができると思う

Adox Silvermax に近い感覚があった

RPX400 に対しては余り良い印象がなかっただけに

さほどの期待は持っていなかったのだが それが覆された

今後の選択肢になり得る

早くプリントして その実際を確かめて見たい






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# by pianoartech312 | 2017-06-16 19:00 | Portrait | Comments(0)

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午後3時近くになって 何となくではあるが日差しに赤みを帯びるようになると

芝生の上を通り過ぎる風に 強烈な日差しを浴びて来た独特の香りがするようになり

もの哀しささえも感じられるようになった

ほぼ予定通りの撮影を済ませ 最後の場所にたどり着いた

「ここが最後の撮影場所。短いけれど良い並木でしょ?」

「ほんとね。芝生も綺麗だし悪くないわ」

「この木、覚えてる?」

「・・・」

彼女はしばらく近くの枝をじっと見つめて考えている

「去年の夏にさ・・・」

私がヒントを伝えようとすると彼女はとっさに想い出した様子だった

「あぁ!カブトムシの!」

「そうそう♪」

「なんて名前の木だったかしら?」

「メタセコイアだよ」


去年の夏にも同じようなメタセコイアの並木で彼女を撮影したのだ

その時にたまたま枝に止まっていたカブトムシを見つけて彼女がスマートフォンで写真を撮ったのだ

「早いね。あれからもう1年が経ったんだよ」

「そーねぇ。。。ここにはカブトムシがいるかしら?」

「ん・・・まだ早いかな」

「ここでも私は座って本を読むのね?」

「その通り♪」

彼女を木陰に座らせて本を読む仕草をしてもらった

日陰でも十分に明るさはある

いつもの様に開いた本がレフ板になって彼女の顔を明るく照らす

私は低い位置から背景の並木を十分に生かして撮影してみた

「だいぶ髪が長くなったね」

「そろそろ切らないと・・・って思うんだけどね」

「セミロングくらいが良いよ。初めて撮影した時はそのくらいだったと思うし」

「そうね。これから夏になるのだから、少し首元に風を通さないといけないわ」

彼女はそう言って首を振りながら髪の毛を振り払った

シャンプーのCMではお馴染みだけど フワッと広がった髪が太陽光に晒されてキラキラと輝いた

彼女は長い髪がよく似合う

また次回会うのが楽しみになった



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# by pianoartech312 | 2017-06-15 19:00 | Portrait | Comments(0)