Playing for Time(5)

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午後2時を過ぎて いくらか風が心地よくなって来た

今頃の季節なら このくらいの時間に綺麗な光を得られる

緑が多くなり始める木々に太陽の光が反射してキラキラとする

そしてやはり此処でもビルの窓に反射する光がこんな日陰でも辺りを明るくしているのだ

この場所は四季を通してよく訪ねる

時間も一日を通してとても綺麗な場所だと思うし 時期を選べばバラの花が綺麗に咲き誇る

いつものように彼女にカメラを私て私を撮ってもらう「課題」を課してみた

彼女は色々と悩みに悩み私にレンズを向けるが どうもしっくりこないらしい

そんな彼女に私が注文をつけた

「この場所で撮ってみて」

「ここで?」

「この後ろにある街灯に太陽の光が当たる。その明るさを背景のレンガに当てて強調するんだ」

「・・・」

「そしてこっちにある木の葉がキラキラしているでしょ?これも入れる」

「そんなの無理よ!」

「じゃあ、レンズを交換しよう」

私は彼女が首から下げているカメラに付いている中望遠レンズを外し広角レンズを付けた

「どぉ?少しは構図し易くなったでしょ?」

「あぁ、本当ね」

「よし、それでやってみよう♪」

私は自分が決めた立ち位置で彼女を見た

彼女はカメラを構えて色々と苦戦している

シャッターを押してはゼイゼイしている

「シャッター押すまで息を止めてるでしょ?」

私は笑った

「ちょっと貸して」

私は彼女からカメラを受け取ると彼女を立ち位置に立たせた

そして私がイメージしたように背景を構図してレリーズする

それを彼女に見せてみた

「あぁ・・・なるほどぉ。。。」

彼女はしきりに感心している

「じゃあ今度は君がもう一度やってみて」

そう言って彼女にカメラを渡したが 結局は彼女が満足するカットは撮れなかった

その後もしばらく彼女が私を撮影する時間が続いた






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# by pianoartech312 | 2017-04-19 19:00 | Portrait | Comments(0)

Playing for Time(4)

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私は丸の内が大好きだ

以前から記しているが この辺りは高いビルが多いので

どこかしらに太陽が反射して どこかしらを照らしている

重厚な石造りの建造物も多いし とても美しい

このインドアでもそんな光がわずかに届く場所がある

今の時期だけに見える現象で ずっと以前から知っている

それでも周りを暗く落とすこともできるこの場所は雰囲気がよくて好きだ


「ここなら 例えばパリのメイン通りから2本だけ路地を入った裏通りのイメージだね」

「確かにそんな感じがするわね」

「この先に古くからあるBAR があって、そこに行く前に誰かと待ち合わせをしている。そんなイメージかな」

「それで?」

「スマホを見てもいい。ただ向こうを見ていてもいい。とにかく誰かを待っているイメージだ」

彼女は壁に背中を預けて腕組みをした

右足を少しだけ折り曲げて かかとを建物の基礎部分に乗せた

つま先をコツコツと鳴らして何かを見つめている

きっと彼女の視線の先には まだ向こうは彼女に気づいていない今日の「相手」が見えるのだろう

彼女の表情はまさにそんな感じだった




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# by pianoartech312 | 2017-04-18 19:00 | Portrait | Comments(0)

Playing for Time(3)

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電車に乗って移動した先でランチタイムにした

13時を回っていたので もう空いている頃だと思ったが

目的のカフェは想定外に混雑していた

でも今日は天気も良いし 気持ちも良いからテイクアウトして

店の外にあるベンチとテーブルで食べることにした

街路樹の並木には新緑が芽吹き始め 午後の強い光に眩しさを増す

まだ真新しいスーツに身を包んだ若い女の子が地図を片手にこのオフィス街を歩く姿が見える

そんな彼らの脇目も構わずに彼女と私は美味しいパンであると有名なお店の前でのんびり過ごしている

ここに日が当たるのは正午を挟んで2時間程度

以前からここで女性を撮ってみたかった

だからこの時間にここに来ることを軸に今日の計画を立てていた

「そうそう、君にも音楽を聴かせてあげないと♪」

「音楽?」

「前にも話したでしょ?イメージする音楽だよ」

私はジャケットの内ポケットからiPodを取り出して目当ての曲を探した

イヤホンを彼女に渡し 再生させてから本体を彼女に預けた

彼女はテーブルに体を預けてじっと聴き入っている

その間も私はキャラメルでコーティングされた香ばしいパンを食べている

そして食べ終わると彼女にカメラを向けた

「終わった?」

「ちょうど今、終わったわ」

「どうだった?」

「嫌いじゃないわ、こういう曲」

反応が中途半端というか 私に気を遣っているのか

今ひとつパッとしない

ただほとんどの女性はこんなものだ

そこで私は彼女に私のイメージを語ることになる

それで初めて「なるほどぉ。。。」となる人もいる

果たして彼女はどうだったのかな


さて お腹も満たされたし もう少し歩きながら撮影してみよう・・・




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# by pianoartech312 | 2017-04-17 19:00 | Portrait | Comments(0)

Playing for Time(2)

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ちょうど先週の今日も 別の女性をここで撮影した

その時と大きく違うのは天気だった

少々 風は強かったがどこまでも晴れ渡った快晴で気温も急上昇した

その硬い光が この石造りの建物や石畳の質感をさらに高めた

彼女の場合は同じヨーロッパでも南部で 

例えばスペインのアンダルシア地方だったりするのがイメージだった

真夏の そして黒い影がクッキリとしている こうした細い路地を歩く姿がイメージだった

乾いた空気 気だるい午後 それでも色は確実に派手で その中にある白が独特のコントラストを放つ

彼女は「晴れ」だと思った

そして派手な色が似合う

カツカツとヒールを鳴らして歩く姿がとてもカッコ良くて絵になる

今日が楽しみになった


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# by pianoartech312 | 2017-04-16 19:00 | Portrait | Comments(0)

Playing for Time(1)

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「どうしたの?」

私は彼女が見つめる先を見ながら彼女に聞いた




私がフィルムカメラの準備をしている時に彼女はこの建物の入り口前まで歩いて

窓から中をのぞいている

「ここは何なの?」

「ちょっと高級なレストランみたいだよ。披露宴をよくやっているしね」

「何も見えなかったわ」

「まぁ、平日だしね。でも営業もしていないのかな?」

強烈な日差しがあったのでレンズに大きめのフードをつけて彼女にカメラを向けようとした

彼女はしたの方を見て何か独り言をつぶやいているようにも見えた

表情は明らかに微笑んでいる

「どうしたの?」

私は彼女が見つめる先を見ながら彼女に聞いた

時間はちょうど正午を過ぎた頃だった

そこにはベンチに座ってお弁当を食べている人が何人もいた

女性も男性も おそらくこの周りのビルの中に入っている企業に勤務する人たちだ

暑いくらいだったが 本当に気持ちのいい晴天で

こうして外でお昼を食べるのはさぞかし美味しいだろう

「だって、みんな『愛妻弁当』を食べているのかなって思ったら微笑ましくて。。。」

「そうかぁ。確かにあの辺の男の人たちはみんな愛妻弁当かもしれないね」

私は笑った

まるで夏の太陽光みたいに地面のコンクリートが彼女の顔を下から光を跳ね返す

本当に硬質な光だ

でも彼女はこうした背景が似合う

私たちもお腹が空いてきた

次の異動先でランチタイムにしようと彼女に提案した








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# by pianoartech312 | 2017-04-15 19:00 | Portrait | Comments(0)