「ほっ」と。キャンペーン

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「客車の中でのんびりしてたら、どこかへ行きたくなっちゃったな」

彼女がポツリとつぶやいた

「いいですね。たまには普段の生活を忘れて遠くに行きたくなるよね」

「怜さんは最近、長野に行ってるの?」

「もう二、三年は行ってないかもしれない・・・」

「どこかオススメの場所ってない?」

私は考えた

「ん・・・色々とあるけど、人に勧められるよりも何かをきっかけにしてみるといいよ」

「例えば?」

「映画のロケ地になったとか、小説の舞台になったとか」

「そうねぇ・・・」

彼女は色々と思い出しているようだ

冬の日差しが彼女と彼女の背景を優しく包み込む

そんな彼女の姿がとても綺麗で シャッターを切った



私と彼女は客車を離れて 広い公園の中をめぐる

起伏の激しい公園だけど 冬の森の中は明るくていい

色々な鳥の鳴き声も聞こえるし ニャンコだっている

初夏から夏は鬱蒼と茂る木々の葉が辺りを暗くする

それはそれで涼しくて爽やかだが やはり私は冬が好きだ

「金閣寺かな・・・?」

彼女がふふっと笑っている

「金閣寺?」

「三島由紀夫が好きなの♪」

「なるほど。。。まぁ、でもそういうことだよ」

「いいわ。考えておく。今年の誕生日は『ひとり旅』をプレゼントしてもらうから」

「それはイイね♪」

きっと何かを見つけたんだろうな









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# by pianoartech312 | 2017-02-05 19:00 | Portrait | Comments(0)

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立春を迎えるとテレビの天気予報では枕詞のように『春とは名ばかりの・・・』と謳う

それでも確実に春は近づいていて

街の至る所で目にすることができる梅の花や 蠟梅の甘い香りが届くと私は憂鬱になる

日向に立っていると太陽の光を浴びて熱を感じることができるのだが

日陰に入ればカラカラに乾燥した冷たい風が頰を通り抜ける

「今日はあの客車で写真を撮るよ♪」

「わぁ・・・随分と古そうね。どのくらい前の車両なの?」

「ん・・・それでもまだ40年くらいじゃないかな?」

私は展示公開されている客車の説明が書かれた札の前でその歴史を読んだ

「47年前だね。でも私が子供の頃は実際に走っていたんだよ。写真だって撮ってある」

「へぇ。そんな前から写真を撮ってたのね」

「そう。これでも一応、鉄道マニアだったからね」

「そうなんだ・・・」


私は車内へ続く鉄製の階段を上る

彼女のブーツがコツコツと音を立て すぐ後ろを付いてくるのがわかった

「あぁ、アッタカイね」

「ほんとね。。。なんだか思った以上に綺麗でちょっと驚いたわ」

「もちろん、メンテナンスをする人がいるんだよ。ちょっと前はあまり綺麗じゃなかった」

「そういえば昔は電車の中でもタバコが吸えたのよね?」

「そうだね。今じゃ考えられないけど、当たり前のように吸っていた」

私は笑った

「それと窓の下に灰皿と、なぜか栓抜きがあってね」

「栓抜き?」

「そう。きっとビールでも飲んだんだろうね」

「なんだかのんびりしていた時代だったのね」

私は彼女をシートに座らせて撮影する準備を始めた

それでも彼女はこの客車が珍しいのか スッと立ち上がると通路を歩き始めた

どのくらい歩いただろう

彼女が立ち止まり窓の外を見つめていた

その姿がなんだかとても透き通るような感じがして驚いた

いつも黒ばかり着る彼女が珍しく淡い水色のコートを着ている

彼女のどこまでも白い肌が本当に透き通るようで

またそのコートの色も氷のような冷たさがあった

しばらく切っていないという髪がだいぶ伸びている

彼女を撮り始めて丸2年になる

今思えば 彼女は本当に綺麗になった

彼女は真冬がよく似合う

だから今日 彼女を撮りたかった










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# by pianoartech312 | 2017-02-04 19:00 | Portrait | Comments(0)

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前回のテストではR09 を1+50 で処理したが想定以上に粒子が大きかった

もう少し粒子を小さくしてみたい

それで次なる対策は「静止現像」だった

ただ これは粒子は小さくなるがコントラストも落ちる(つまり軟調になる)

なのでそれを補うために撮影時にフィルターを使用してコントラストを上げてしまおうと考えた

ただ手持ちのフィルターはYA2 ・R2・P0 と極端だ(笑)

Y2 程度で十分だったが仕方がない

以前にFOMAPAN100 をA49 で処理した時のロケーションで撮影した

その時の画像とも比較できる

さて 結果はと言うと・・・

ちょっと驚いた

あまりにも粒子が細かくなっていてFOMAPAN200 の個性がなくなっていた

一般的な平型粒子構造を持つフィルムと何ら変わりない とても綺麗なネガになってしまった

もちろん それはそれで結構なことなのだが今の私には不要なのだ

上の写真は左がノーマル  右がフィルター使用


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確かに粒子が細かくなってしまったが それでもロジナールのシャープネスは健在だ

理想のネガを外してみれば 実に美しいネガだ

特にフィルターを使用したネガはコントラストも十分だ

ただこれではFOMAPAN100 で撮影してもほぼ同じようなネガになるから意味がない(笑)


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もうひとつ驚いたことがあった

今回もRICHO XR1000s を使用しているが 全てAE で撮影している

それは単純にフィルターを使用した時の露出倍数を考えたくなかったから

YA2 でも2倍は必要になる

ネガが上がって乾燥させながら見つめると本当に露出が適正であると確認できた

まぁ さすがに極端な状況ではそれなりに補正はしたが常識の範囲内だ


さて このテストで得られたものは何かというと

『この組み合わせは無い』

ということだ

ただフィルターを使用するというのは「有り」かもしれない

** ただ注意が必要で 何でもフィルターを使えば良いものでは無い

フィルターの色で その色に反応する被写体が白くなってしまう事態が起こる

基本的にはフィルターの色と同系色が白くなってしまう

例えば今回使用したYA2(オレンジ) を通してミカンなどを撮影すると白っぽくなってしまう

モノクロ用フィルターを使用する際は その性質をよく理解した上で使用しなければならない


以前に掲載したこのフィルムの画像はRollei Supergrain で現像している

あれも素晴らしい現像液だったが補正機能があってコントラストがコントロールされる傾向にある

ただ粒子は理想的だった

やはりこのフィルムにおいてはD-76 が相当なのかもしれない

今回はこのフィルムとともにTX-400 も購入しているので D-76 は必要になる

ワガママの極みだが そこは「こだわり」だ


RICHO XR1000s
YASHICA Auto YASHINON DS 50mm F1.7
FOMAPAN200 Creative
R09 1+100 20℃ 60min. Stand-dev.
YA2 フィルター使用





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# by pianoartech312 | 2017-02-03 19:00 | モノクロフィルム | Comments(0)

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「美しいネガ」を最大のテーマとして臨んだプリント実習

今回は実に有意義な時間だった

結果から言えば 「美しいネガ」の考え方と信念は間違いではなかった

もちろん自身の中においてのことだ

いつも記すが表現に「正しい」「間違い」はない

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まず上の画像は右がノーマルにプリントしたもの

これでも悪くはないが窓からの光を強調して教室の奥も出してみる

彼女本体は露光は変えていない

窓側だけを覆い焼きしている

これだけでだいぶ印象が柔らかくなるのがお分かり頂けると思う

Kodak TX-400 D-76(1+1)


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これも右がノーマル

もちろんこれでも良い

しかし自分の中でこの絵においては柔らかさを必要としなかった

先ほどとは反対に思えるが理屈は同じ

この写真の場合は彼女の背景が白い壁で十分に明るい

光の方向が明白で彼女の顔半分を完全に潰しているので窓からの余計な光が意味をなさない

そこでオーバー気味な窓とカーテンの部分を焼き込んだ

全体的な露光時間は同じ

ILFORD HP5 Plus ID-11(1+1)



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これも右がノーマル

左サイドの壁がくすんでいる

壁だけを覆うことも考えたが このフィルムの黒を大胆に表現したかった

なので3号フィルターを使用した

テストピースで露光時間を見ながら標準よりも2秒ほど露光時間を抑えた

壁はより白くなり 道にできる影も濃くなりグレーも引き締まった

そして快晴の空が実によく出てくれた

Rollei Rerto400s R09 Stand-dev.


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これも右がノーマル

しかし先に断っておくが PC のモニターでは違いが見えない(笑)

実は背景の窓を焼き込んでいる

やや黒が出ているのがわかるか?

それと彼女の右肩あたりの白とび具合が少々違って見えるかもしれない

この差は実に微妙なのだが それでも実際のプリントを比べると全体の印象は変わる

Kodak T-MAX400 R09 (@800)



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これも前作同様にあまり違いが見えない

実際のプリントでは誰が見ても違いがわかると思う

大屋根の軒下をどこまで出すか?の違いだ

ネガでは十分に見えているが もし手前に女性を入れて頭から顔を軒下の中に位置したら?

そうなればギリギリまで潰した方がうるさくない

しかし今回はその想定は無いので ある程度は見えるようにしてみようと考えた

このネガは実にメリハリがあってプリントしやすかった


FOMAPAN100 Classic R09(1+50)


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今回は1枚ごとに暗室のスタッフのアドバイスをもらった

的確なアドバイスは本当に助かるし納得ができる

「最後はご自身がどう思うかですよ」

彼はいつもこう言う

でも今回は「僕はこう言うの好きですね」とも言ってくれる

それが嬉しかった

もちろん彼に気に入られるプリントをするつもりはない

ただ『表現として』ではなく『美しいネガからのプリント』と言う意味合いで

彼のアドバイスと意見を伺うのことに意味があった


自分が最大のテーマとした「美しいネガ」

その考え方が自分の中においては正しい方向に踏み出したと思えた


なるべくならフィルターは使用したくないが

適宜使用するにあたっては問題ない


まだまだ私の「美しいネガ」へのこだわりは続く・・・












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# by pianoartech312 | 2017-02-02 19:00 | ポートレイト | Comments(0)

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早速フィルムを購入してテスト撮影に出かけた

カメラは YASHICA Lynx14

テスト撮影は鎌倉か横浜市内の山手がお決まりのコース

同じものを同じように撮影することで過去の画像と比較することができるからだ

現像液はR09(ロジナール)を 1+50 10分で処理

ただ現像液を調合した時は18℃だったのが 排出液は21℃だった

単純に温度計を読み違えたかもしれない

設定の現像時間が10分以内の場合は15秒の違いで影響が出る

この3℃の読み違いは大きかった

やはり全体的にややオーバー気味だが何とかなる範囲だと思う

さて このオーバーを差し引いて結果論を記すと

やはりこのフィルムの特徴がよく出ている

平型粒子構造を持つフィルムではあるが粒子が大きめに出る

T-Max やDELTA それにACROS とはまるで違う質感がある

そして独特の黒(Rollei Retro に近いかもしれない)がある


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露出に迷ったが窓から差し込む光を基準にしてあえてベッドを潰してみる

シーツからの反射で程よく壁などが明るくなる

コントラストも高い方ではないかな

質感を解りやすく言うならば「古臭い写真」かもしれない


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たまたまバッグの中にあったソフトフィルターを使ってみた

結果は容易に想像できたが・・・効果がきつい(笑)

これだけ輝度差があれば効果の弱いタイプでも十分だ


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これはオーバーだ

でも分かっていた

本当は段階露出をするつもりがフィルムが終わってしまった

画像左サイドに女性が立っていれば背景が潰れても窓からの光で十分に引き立つ


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どうにも難しい状況

これでも段階露出のマイナス側

あと一段早くても良かったかもしれない

多分 左サイドは十分に保てただろうが カーテンはそれでも飛ぶだろう


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今回の撮影では絞り値は全てF=2 に設定した

それでも一絞りしているのだから やはりF=1.4 は大きい

現像液をD-76 にすれば もっとスッキリしたネガになるはずだ

しかし 今の私はこのシャープネスと極端なほどのコントラストが欲しい

ただ予想はしていたが粒子が少々大きすぎた

これはコントラストを少々は犠牲にしても静止現像することで対処できると思う

それはまたテストしてみないことには何とも言えない

ただ今の時期はまだ陽が十分に差し込むので室内での撮影は苦労しない

前回のテストで好結果を残したFOMAPAN100 Classic でも十分に撮影は可能だ

それなら今回の処理方法でも十分にいける


「美しいネガ」とはちょっと言えないかもしれないが プリントするには問題ない範囲だと思う

これはこれで 面白い結果になって良かった

















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# by pianoartech312 | 2017-02-01 19:00 | モノクロフィルム | Comments(0)