3年目の11月 "Prologue"

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彼女は実に不思議な女性だと思う

彼女を撮るようになってから丸2年が経過して3年目になる

色々な場所で 色々な背景と景色の中で彼女を見つめてきたが

今でも彼女の本当の姿を知らない

ただ「私だけが知っている」彼女は確かに存在していて

それは他の誰もが知っている彼女以上に美しい彼女なのだ

しかし 彼女を撮っていて時にドキッとすることがある

それは単に「綺麗だから」ではなく

瞳の奥に潜む彼女の心情がそのままレンズを通して私に訴えかけているかに思える時だ

時に彼女は本当に子供ではないかと思うような表情になることがある

しかしその時の彼女の瞳はいつも潤んでいるように思えるのだ

「もしかしたら泣いているのかな・・・」

そんな時にドキッとするのだ

駅で電車を待っている時に 彼女を誰もいないホームのベンチに座らせて

背景から差し込む太陽の光に包み込んで見たくなった

おそらく今日撮影した中で唯一 色らしい色がない瞬間だ

でもやはり彼女はこんな真っ白な中に置いてみるのが一番良いかもしれない








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# by pianoartech312 | 2016-12-01 19:00 | Portrait | Comments(0)

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早速 ポートレイト撮影

先日のヤフオクで落札したカメラと モノクロフィルム撮影では初めて使うSEKOR50mm F2

どんな画像が出てくるかと楽しみだった

予報ほど晴れることがなく 曇り時々晴れ程度ではあったが明るさは十分だった

フィルムはRollei Retro400s

現像液はAdox Atomal49という最近の「鉄板」な組み合わせ

その結果はご覧の通り

とても満足している

やはりSEKOR の描写は裏切らない

F2 という開放絞り値は現代なら「暗い」部類だと思う

しかし昭和30年代のカメラをメインに使用している私からすれば間違いなく「明るい」レンズだ

確かにF1.8 もあるが その「0.2」の違いは無いと思っている

被写体までの距離が近いので一絞りしてF2.8 にしているが それでも浅い

現像液の効果も大きい

ピンで合わせているフォーカス部分は非常に滑らかでイイ

R09 での現像も考えたが プリントするときの粒子を少なくしたかった


しかし時間を追うごとにカメラの調子が悪くなってきた

巻き上げがガクガクとし始め シャッターも心もとない

騙し騙し使っていたが フィルム一本を使い終えたと同時に全くシャッターがおりなくなった

「あぁ、やっぱりダメか。。。」

そう思いながらも帰宅してから分解してみると原因が判明した

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巻き上げてチャージする際に印をしている部分が動いてセットされるのだが全く動かない

細いドライバーの先で動かすとすぐに戻ったので「油ぎれ」であると判断

KURE556 を数滴たらして馴染ませると軽快に動くようになった

古いカメラにはよくあることで レンジファインダーカメラで学んだことだ

何もなければ後一本 フィルムを使って撮影したかったのに。。。


この他にもTakumar 135mm F3.5 プリセットレンズでも撮影している

これはこれで素晴らしい画像を結んでくれた

古い町並み・古いカメラ・古いレンズ・Retro と呼ばれるフィルムで撮影するとそのままの描写になった

久しぶりに興奮した・・・




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# by pianoartech312 | 2016-11-30 19:00 | アイテム | Comments(0)

L'eternel Retour(3)

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「ここは本当に綺麗なよな。。。」

「でもあの日はお天気だったからこの並木が輝いていたわ」

「でもこんな曇り空だと返って鮮やかな色が映えるものだよ」

「そう言われるとそう見えるわね」


2年前にここで彼女を撮影した

彼女がたまたま通りかかった時に綺麗だと思っていたらしい

「怜さんがきっと気にいると思うわ」

そう行って彼女は私をここに連れて来たのだ

確かに綺麗だった

その日は本当に快晴で暖かかった

この並木は薄暗く鬱蒼としているのだが 日光が黄金色に染まったメタセコイヤを透過して

実に不思議な色空間が出来上がっていたのだ


あの日と同じように彼女を道の真ん中に立たせた

車通りのほとんどないこの道のはるか向こうまで並木が続く

何カットか撮り終えると彼女が私に近づいて来た

「もー限界!寒い寒い。どこかでコーヒーでも飲みましょう」

「今日はよく『もった』よね。少し見直した」

私は笑った


まだ午後2時だというのに本当に薄暗い

そして時間の経過とともに足元からしんしんと冷え込んで来た

「じゃあ、いつか行ったコーヒーショップにでも?」

「そうしましょう♪」

彼女は急いで車に乗り込みエンジンをかけるとヒーターを入れた






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# by pianoartech312 | 2016-11-29 19:00 | Portrait | Comments(0)

L'eternel Retour(2)

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「初めてここで怜さんに撮ってもらった時、随分と怒られたわ」

「そうだね。そう思うと君はだいぶ素直になったよ」

私は笑った

4年前に初めて彼女をここで撮影した時に 無駄な動きやポーズが多すぎると少々声を荒げてしまったのだ

普段なら仕事でもない限り 女性にそうした対応はしないし 今もしていないが

この時ばかりは流石の私もそうしてしまった

彼女は彼女なりに一生懸命だったのかもしれないが

それが私には「お遊び」に見えたからだ

その日は撮影後にも色々と議論したのだが 彼女は納得できていない様子だった

しかし後日改めて編集を終えた画像を送るとすぐに彼女からメッセージが届いた

「私が今まで感じたことのない、見たことのない綺麗な自分がそこにいて涙が出るほど嬉しかった・・・」

きっと私のイメージしていることを身をもって汲んでくれたのだと思う

そうした自分の姿を見て私の思う彼女のイメージを無視していたのかもしれないと謝ってもいた


それからは彼女から撮影依頼をもらうことが頻繁にあり

以後はほぼ月一回のペースで撮影していたかもしれない

そうしてお互いの理解が進んだのだと思う


「もうスカートの裾をもってポーズすることはしないの?」

「さすがに、もう今の私にはできないわ。だから今日はスーツを着ているんじゃない」

「そうか・・・」

「だから、今日は『仕事のできそうな女』を表現してよね」

「ふーん・・・」

「なにそれ?」

「いや、別に。。ただ・・・」

「ただ?」

「やっぱりショートカットの君は綺麗だなって思って見ていた」

「・・・バカ」

そう言って微笑むと彼女はそのまま振り向いて私が指示した立ち位置まで歩いて行った

そんな姿を『また大人になたんだなぁ。。。』と見つめていた




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# by pianoartech312 | 2016-11-28 19:00 | Portrait | Comments(0)

L'eternel Retour

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「怜さん好みのショートカットにしたの。だから写真撮ってくれない?」

「へぇ。それはイイね。楽しみだ」

しばらく音沙汰のなかった彼女からの連絡に「ショートカット」と記されたいたから驚いた

以前から彼女には「ショートにしてみたら?」と再三アドバイスをしていたのだが頑なに断っていたからだ

「それと・・・ 撮影はもう今回で最後になるかと思います」

そうも付け加えられていた

彼女からそう言われて複雑な心境にもなった

なぜなら私の中では すでに彼女を撮影することは無いと決めていたからだ

昨年の11月に彼女を撮影した際に「これで最後にしてくれ」と頼んだのは私の方だったから

もちろん「撮影をしない」というだけで 金輪際 連絡も取らないということでは無い

普通にお茶したり食事したりすることには何ら抵抗はない

それをわかっていながら「最後になるかも」と記した彼女の心境がよく理解できなかったのだ

「待ち合わせ場所で怜さんは私を見つけて、きっと『ドキッ!』とするわよ」

「へぇ、それは楽しみだ♪」

彼女は相変わらずだ

なんだかんだで丸4年が過ぎた

普通にしていれば5年目になるところだ


当日は本当に寒い曇り空だった

寒さが苦手な彼女には酷な1日になるだろうなと思った

私は待っている間 スマホの画面に見入っていた

待ち合わせ場所に彼女が現れたのだが彼女は私の方に歩み寄って来ない

「怜さ〜ん!」

どこからともなく私を呼ぶ声がしたので その方を向くと彼女が車の中で手を振っている

今日は彼女が車で迎えに来てくれた

私は彼女の車に歩み寄りきつい口調で言った

「何で降りて来ないんだよ!」

「だって、寒いんだもん♪」

私は助手席に座りシートベルトを締めた

「どぉ?ドキッとした?」

「ふん、するか!」

「ひっど〜い!・・・ホントは照れてるのよね?」

彼女が微笑む

照れてはいない

車から降りて来ない彼女に本気でムカついたのだ

でも確かにショートカットの彼女は悪くない

綺麗に揃えられた襟足から覗く首筋は色気がある

ちょっと楽しみになった・・・




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# by pianoartech312 | 2016-11-27 19:00 | Portrait | Comments(0)